2020年12月6日
2021年2月12日
2020年12月6日
宇宙探査機ボイジャー1号が60億km先の彼方、海王星の向こう側から地球を撮影した写真を見て、天文学者のカール・セーガンが残した言葉。解像度の低い写真に、点として映った地球。それをセーガンは”Pale blue dot(淡く青い点)”と呼んだ。
▷the Pale Blue Dot Carl Edward Sagan(11/9 1934 – 12/20 1996)
この距離から見る地球には特に興味を覚えないかもしれない
けれど、我々の目には違って見えるはずだ
もう一度、この点について考えてみて欲しい
ここだ。
これが故郷で、私たちがいる
この点の中であなたの愛したすべての人たち
知り合いの全員
今まで耳にしたことのあるすべての人たち
人間ならばどこの誰であろうと
ここに生きてきた
至福と苦痛の集大成が
何千年という自信に満ちた
宗教が思想が経済協議が
すべての狩猟採集者が
すべての英雄と腰抜けが
すべての文明の創始者と破壊者が
すべての王と小百姓
すべての愛を囁き合う若い恋人たち
すべての父と母
希望の子供
すべての発明者や探検家
すべての道徳的な教師
すべての腐敗した政治家
すべての偉人や最高指導者
すべての聖者や罪人が
そのすべての人類の歴史がここにある
塵の微変さながら
太陽の光の中に浮遊しながら
地球は壮大な宇宙のアリーナの中の小さな舞台だ
このわずかな点の瞬きの支配者となった
すべての将軍や皇帝の勝利や栄光の影で
流れ出たおびただしい血の量を考えてみて欲しい
この1ピクセルの角に存在する住民が
まるで見分けのつかぬ別の角に存在する住民に対する
その終わり無き残虐行為を考えてみて欲しい
なぜゆえに人類は頻繁に誤解し合い、殺戮を熱望し、強烈に憎悪しあうのか
私たちの奢りが、私たちの自惚が、宇宙で特権のある地位にいるというその錯覚が
この色あせた光に試されている
この惑星は、大きく暗い宇宙空間の中にひっそりと存在する孤独なシミでしかない
こうも広大な宇宙の中でぼんやりとしていては
人類が人類を救うきっかけは外からはこない
地球は人類の知るなかで、生命を宿す唯一の世界だ
少なくとも近い将来、人類が地球外へ移住できるその時まで私たちに行くあてはない
行き着くことはできる
定住はまだ無理だ
いやがおうでも、しばらくは地球にいるよりはない
天文学という学問は、謙虚に人格を変えられる教えだと言われてきた
おそらく遠く離れた小さな故郷を見せける以上に
人類の愚かさを実感させてくれるものはないだろう
私たちは、この点がより親切に互いを思いやり
色あせた青い点を守り、大事にするべきだとそう強調しているように思えてならない
それがたった一つ、我々の知る故郷なのだから